セレクトセールの高額取引馬が稼いだ金額とは?


毎年7月に、北海道でセレクトセールという競走馬の競り市が開催されます。日本競走馬協会が主催する日本最大の競り市で、優秀な血統の馬が多く上場されるため、1億円以上の高額で取引されるケースも少なくありません。では、何億円もの高額で取引された馬は、現役時にどれだけ稼いだのでしょうか?

セレクトセール取引馬は高額になりやすい

セレクトセール高額取引馬Top10は以下になります。※2020年までの取引馬が対象

1位 ディナシー……6億3,000万円
2位 アドマイヤビルゴ……6億2,640万円
3位 ショウナンアデイブ……5億6,100万円
4位 ザサンデーフサイチ……5億1,450万円
5位 タイタンクイーンの2019……4億7,000万円
6位 フォエヴァーダーリングの2019……4億4,000万円
7位 ヒルダズパッションの2020……4億1,800万円
8位 ダブルアンコール……3億9,960万円
9位 ザレストノーウェア……3億8,880万円
10位 ラストグルーヴ……3億7,800万円

1位の馬はなんと6億3000万円。スポーツくじ「BIG」の1等最高額6億円が当選しても買えません。恐ろしい金額です。10位の馬でさえも3億7,800万円。超高級外車や都内一等地の戸建て物件並みの価格です。

もちろん競走馬全てがここまで高額なのではありません。数百万円(それでも高額ですが……)で取引される馬もいるなど価格はピンキリです。

なぜセレクトセールの馬がここまで高額になるのかというと、やはり優秀な血統だからです。優秀な血統や実績のある血統はそれだけ活躍する可能性も高く、また価値も高いため高額になるのです。

例えば、1位の馬は、お父さんが日本ダービー馬のキングカメハメハで、お母さんもエリザベス女王杯というG1を勝ち、自身も優秀な血統であるトゥザヴィクトリー。当時、考えうる中でもトップクラスの名血統ということで、6億円を超える価格がつきました。2位の馬も、お父さんはあのディープインパクト、お母さんはイギリスで活躍した名牝ということで、高額で取引されることになりました。

高額取引馬は軒並み活躍できていない!

何億円もの価格で購入したとして、購入価格に見合うリターンが得られるのか疑問ですよね。では、実際に高額取引馬は現役時にどれだけ稼いだのでしょうか? 高額取引Top10のうち、競走馬登録された馬の生涯賞金を調べてみました。
※3位のショウナンアデイブは今年デビュー予定のため除外

●ディナシー
購入価格:6億3,000万円
生涯獲得賞金:0円 ※出走せず

●アドマイヤビルゴ ※現役馬
購入価格:6億2,640万円
生涯獲得賞金:7,929万円(7戦4勝)

●ザサンデーフサイチ
購入価格:5億1,450万円
生涯獲得賞金:7,196万円(41戦3勝)

●ダブルアンコール ※現役馬
購入価格:3億9,960万円
生涯獲得賞金:1,067万円(6戦1勝)

●ザレストノーウェア ※現役馬
購入価格:3億8,880万円
生涯獲得賞金:51万円(1戦0勝)

●ラストグルーヴ
購入価格:3億7,800万円
生涯獲得賞金:600万円(1戦1勝)

史上最高額となったディナシーはまさかの0円。実は落雷に驚いたことでデビュー前にけがを負い、競争能力を喪失。デビューすることなく繁殖入りしたため1円も稼ぐことができませんでした。繁殖牝馬としてもあまり優秀な産駒を残せていません。

アドマイヤビルゴは現役馬で、これまでに7,929万円を稼いでいます。まだ取引価格の9分の1ほどですが、先日にはG1大阪杯にも出走。将来性も高く、これから取引価格以上の賞金を稼いでくれるかもしれません。同じく現役馬のダブルアンコールやザレストノーウェアも、これからが期待される馬です。

5億1,450万円で取引されたザサンデーフサイチは7,196万円しか稼げず。3億7,800万円のラストグルーヴはデビュー戦を見事に勝利。しかし、けがや事故などで優秀な血統が絶えることを危惧した関係者が早々に繁殖入りし、生涯獲得賞金は600万円に終わりました。その後、繁殖入りしたラストグルーヴですが、今のところ優秀な仔は出ていないのが残念なところです。

Top10以下を見ても、取引額11位のトーセンダンス(3億5,175万円)は1戦0勝で引退。12位のフサイチジャンク(3億4,650万円)はデビュー4連勝と頑張ったものの、賞金は8,909万円どまりでした。

こうして振り返ってみると、高額取引馬は購入金額以上の賞金を稼ぐどころかほとんど活躍できていません。高いから、優秀な血統だから走るとは限らないのです。目立った血統ではなく、安い金額で取引された馬が思わぬ活躍を見せることも多々あります。例えば、獲得賞金約19億円で、歴代2位のキタサンブラック(北島三郎さんが馬主であることでも有名)は、300万円代で取引された馬。また、約18億円を稼いだテイエムオペラオーは1,000万円の馬でした。これがブラッドスポーツの面白いところです。

あと数か月で今年のセレクトセールが開催されます。今年はどんな高額馬が登場するのか、歴代最高額を更新するような取引が飛び出すのか、ぜひ注目してみてください。

(中田ボンベ@dcp)

コメント

タイトルとURLをコピーしました