JRA(日本競馬界)が主催しているレースで、最もグレードが高いのが「GI(ジーワン)競走」です。2021年現在、全部で24のGI競走が行われていますが、もし優勝した場合、馬に乗っている騎手にはどれだけのお金が入るのでしょうか?
最も高額なのがジャパンカップと有馬記念
JRAでは、賞金の分配を以下のように定めています。
・馬主……80%(障害競走は78%)
・調教師……10%
・厩務員……5%
・騎手……5%(障害競走は7%)
馬のオーナーに全額入ると思っている人も多いのですが、実は賞金のうち20%を馬を鍛える調教師や厩務員、馬を操縦して勝利に導く騎手で分けています。このうち、騎手がもらえるのは賞金全体の5%(7%)。割合はそこまで高くないのです。
では、GI競走で1着になると、勝利騎手はどれだけもらえるのでしょうか? JRA主催の全GI競走の1着賞金と騎手がもらえる金額を表にまとめてみました。
騎手に入る金額が最も高額なのがジャパンカップと有馬記念。ジャパンカップは海外の馬を招待して行われる国際レースで、国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表している「世界のトップ100GIレース」でもTop10に位置する格式高いレースです。有馬記念は12月下旬に行われる、その年の総決算ともいえるグランプリレース。どちらも注目度の高いレースだけに、勝利騎手がもらえる金額も1,500万円と高額です。
全部のG1を勝つとどれだけもらえる?
年間最多GI勝利数は、2018年にクリストフ・ルメール騎手が記録した8勝です。障害競走には乗らない騎手なので、全22レース中8勝ということになります。これも前人未踏の記録なのですが、万が一「全てのGIを勝つ」という、まるでゲームのような大記録を達成した場合、どれほどの賞金がもらえるのでしょうか?
先ほどの表にまとめたGI全24レースの1着賞金を合計すると、32億3,700万円。騎手は平地GIでは5%、障害競走では7%なので、全て制覇した場合、騎手は1億6,449万円もの賞金を得ることになります。ただ、全GI制覇という大偉業達成にもかかわらず、なんだか少ないように感じますね。
これまでに最も稼いだ騎手は誰?
「過去最も賞金を稼いだ騎手」は、先述のGIを年間8勝したルメール騎手。2018年になんと46億6023万円もの賞金を稼ぎました。
この年は772回レースに騎乗し、歴代最多となる215勝をマーク。GIを含む重賞競走は68回騎乗して20勝。また、2着は135回、3着98回と、3着以内に入る「複勝率」は58%と圧巻の数字でした。馬券には3着以内に入る馬を当てる複勝という形式があるので、この年はルメールの複勝を買っておけば2回に1回以上は当たる年だったのです。
2018年に圧巻の46億6023万円もの賞金を稼いだルメール騎手ですが、全て平地競走ですのでこのうち5%、なんと約2億3,300万円も手にしたことになります。ちなみに騎手の収入はレース賞金だけでなく、1回騎乗すると数万円が支給される「騎乗手当」や、馬の調教に協力するともらえる「調教料」などがあります。ルメール騎手は2018年に772回も騎乗しているので、1回2万円としても約1,500万円もの騎乗手当も得ている計算です。
時には命の危険にさらされることもある騎手の仕事ですが、現役トップジョッキーになれば、これだけのお金が得られるということです。なんとも夢のある話ですね。
今年もルメール騎手は79勝でランキングトップを独走中。賞金額も半年ですでに約18億円に到達と絶好調です。今週末に行われるGI・安田記念にも、1番人気になるであろう有力馬に騎乗予定。勝てば550万円。果たしてどうなるか注目です。
(中田ボンベ@dcp)
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