「花粉症」とえば、春のスギ花粉によるものが一般的です。しかし、実は秋にも花粉症を発症する人が少なくないのをご存じでしょうか。
今回は秋の花粉症についてご紹介します。
秋に発症する花粉症
日本で花粉症というと、スギ花粉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。例年、冬の終わりから春にかけて猛威を振るっています。
しかし、スギ花粉の時期が過ぎるとすぐイネ科のカモガヤなど、8-10月はブタクサ、ヨモギといった雑草類の花粉が飛散します。
夏から秋に花粉症の症状が出るという人は、これら雑草類の花粉にアレルギーがあると考えられます。
ちなみに、日本で最初に報告された花粉症はスギではなく、ブタクサによるもので1961年のことでした。その後1964年に初めて報告されたスギ花粉症患者は、1980年代になると爆発的に増加していきました。
秋の花粉症の原因となるのは、主に「ブタクサ」「ヨモギ」です。ブタクサは「ブタクサ」「オオブタクサ」と2種類あり、まとめてブタクサと呼ばれています。
症状としては以下のようなものが見られます。
・目の痒(かゆ)み、ゴロゴロするような違和感
・くしゃみ、鼻水の症状が止まらない
・雨の日よりも晴れている日に症状が強く出る
・熱っぽく倦怠(けんたい)感がある
くしゃみや鼻水、熱っぽいといった風邪に似た症状が出ることから、初めのうちは風邪が長引いていると誤解することもあります。毎年同じ時期に症状が出るようなら、花粉症の可能性が高いといえます。
花粉症の患者がどれだけいるのか、正確な数は分かっていません。
しかし、2008年に実施された全国の耳鼻咽頭科医とその家族を対象とした調査では、調査対象者の29.8%が何らかの花粉症であったと報告されています。
秋の花粉症の対策法
秋の植物に限りませんが、花粉症の対策としてはなるべくアレルゲン物質と接触しない、ということに尽きます。そのため以下のような対策が有効です。
●マスクを着用する
マスクを着用するのは、最もポピュラーな対処法ですね。最近のマスクは鼻から口まですっぽり覆ってしまうようなものや、多重構造で花粉をブロックするものなど、花粉対策として有効なものが幾つも販売されています。
ただ、同じマスクを花粉が飛散している間ずっと使うというのは衛生的とはいえません。50枚セットのような商品を買って、1日1枚使って交換というスタイルが衛生的にも経済的にもお薦めです。形状としては鼻から口までしっかり覆えて、鼻のところにワイヤーが入っているものがいいでしょう。せっかくマスクをしても、顔との間に隙間があっては効果が薄れてしまいます。
●帽子をかぶる
花粉症対策としては、花粉に直接接触する箇所を減らすことが大切です。頭を花粉から守るため、帽子をかぶりましょう。できれば髪の毛も帽子に入れるなどして、外気にさらさないのがベターです。ただし毛糸のニット帽は花粉が付きやすいので、別なものがいいでしょう。
●メガネを掛ける
目を花粉から守るため、メガネを掛けましょう。サングラスやだてメガネでも構いません。つるの部分が広くなっていて、花粉の侵入を防ぐような形状のものが良いでしょう。花粉よけのカバーやゴーグルなどもお薦めです。
●アウターは化学繊維がお薦め
花粉が飛散している屋外にいれば、衣類にも花粉が付着します。毛足が長い衣類は花粉が付きやすいので、控えたほうが良いでしょう。感触がツルツルした化学繊維の服は花粉が付きにくく、払い落とすのも簡単なのでお薦めです。
●花粉を室内に入れない
外から家に帰ってきたら、ドアの前で花粉を払い落としましょう。窓を閉めて空気清浄機をフル稼働していたとしても、外から花粉を持ち込んでしまうのでは元も子もありません。手で払うだけでも効果があるので、忘れずに。
●外から帰った後のケア
外から帰宅したら、洗顔、うがい、入浴(シャワーを浴びる)などして、花粉を落としましょう。鼻うがいや洗眼の薬剤も市販されています。よりスッキリしたいという人にお薦めです。入浴後はきれいな服に着替えましょう。
●洗濯物を外に干さない
天気の良い日は洗濯物を外に干したくなりますが、花粉症の人はそれもNGです。濡れた洗濯物には花粉が付きやすくなります。どうしても外に干すときは花粉飛散情報をチェックしましょう。花粉の飛散量は時間によっても変わります。日中のほうがより多く飛散しますので、外に干すのは夜から早朝がお薦めです。取り込むときは、しっかり花粉を落としてからにしましょう。
●窓を閉める
花粉症の時期、部屋の窓は閉めておくのが基本です。換気は花粉の飛散量が少ない夜から早朝にかけてするようにしましょう。窓を開けた後は、掃除機をかけて花粉を残さないようにすることです。
花粉症は病院で治せる?
花粉症で病院に行く場合、耳鼻咽頭科を受診します。花粉症でよく見られる症状を緩和するため、抗ヒスタミン薬を処方されるのが一般的です。
基本的にはこれで対処可能とされています。
また、投薬以外ではレーザー治療という治療法も行われています。これは鼻の粘膜をレーザーで焼き、花粉(アレルゲン物質)が鼻に入ったときの過剰反応を抑え、その結果として鼻水や鼻づまりといった花粉症の症状を抑えるというものです。
ただし、この治療法では鼻の粘膜以外に対して何かするわけではないので、花粉症そのものが完治するというものではありません。また、効果にしても個人差があり、確実に治る、良くなるという治療法ではありません。
花粉症は決定的な治療法が確立されていませんが、現在もいろいろな研究が進められています。いつかは画期的な治療法が発見されるかもしれません。しかし、今のところ「花粉(アレルゲン)に接触しない」というのが一番簡単な解消方法です。
今回ご紹介した対策方法をお試しください。
(藤野晶@dcp)
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