『仮面ライダー』は、ウルトラマンと並び、日本の二大特撮に挙げられるシリーズ作品です。初代仮面ライダーは「バッタ」の力を持つ改造人間だったため、以降のライダーも基本的にバッタやカブトムシ、スズメバチなど昆虫がモチーフでした。しかし、平成に入ってからの作品は、昆虫だけでなくドラゴンや鬼といった空想上の生き物がモチーフのライダーが登場するなど毛色が変わります。中には「こんなのアリ?」というような、変わったモチーフのライダーも登場。今回は、平成仮面ライダーの意外すぎるモチーフをご紹介します。
一番の変わり種? オレンジの力で変身
昭和・平成のすべてのライダーの中で「最も変わったモチーフ」なのが、2013年放送の『仮面ライダー鎧武(ガイム)』です。この作品に登場するライダーは、なんと「フルーツ」がモチーフ。例えば主人公の鎧武はオレンジです。下の動画をご覧ください。変身するためのアイテム「戦極ドライバー」にオレンジの形をしたアイテムを装着すると、主人公の頭上に巨大なオレンジが出現。このオレンジが主人公の頭に覆いかぶさり、皮がむけるように鎧に変化していくという、摩訶不思議な光景が広がっています。
他にも、ライバルはバナナですし、仲間や敵として登場するライダーもブドウ、モモ、レモンといったさまざまなフルーツがモチーフ。ライダーが一同に介して変身するシーンでは、巨大なフルーツが画面狭しと並び、次々に登場人物の頭めがけて振ってきます。初めて見た人はこれが仮面ライダーだとは分からないでしょう。
また、シリーズ途中には、フルーツの力をジュースにして、そこに炭酸を加えるという斬新な演出の新しいベルト「ゲネシスドライバー」が登場。さらに主人公が全てのフルーツの力を備えた、情報量の多すぎる最終フォルムになるなど、とんでもない作品です。現在、YouTubeでは『仮面ライダー鎧武』シリーズが一部無料公開中なので、ぜひ全ライダー一番の変わり種モチーフをご覧ください。
やってることはイタコ? 偉人の力で敵を倒す!
2015年放送の『仮面ライダーゴースト』は、タイトルどおり「ゴースト(幽霊)」がモチーフの仮面ライダーでした。登場するライダーは、眼魂(アイコン)と呼ばれる、偉人や英傑の魂が封じ込められたアイテムを用います。例えば、宮本武蔵の眼魂を使えば「ムサシ魂」という形態に変化。武蔵のように二刀流での戦いを得意とする、近接戦闘特化のスタイルになります。
他にも、ロビン・フッドの眼魂なら弓、ビリー・ザ・キッドの眼魂は射撃が得意になるといった具合に、封じ込められた英傑の力で能力を変えながら、強敵と戦います。さらにトーマス・エジソン、アイザック・ニュートン、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの眼魂も登場。驚異的なひらめきで難局を乗る超える、重力を扱う、音で攻撃するといったことが可能になります。
簡単にいえば「恐山のいたこ」のような仮面ライダーゴースト。こちらもYouTubeで一部無料公開中です。オレンジの顔に大きく真っ黒な目が2つだけというシンプルなフォルムにも注目です。
ロケットに自動車に……もはやなんでもアリ
他にも平成ライダーは変わったモチーフのライダーが存在します。2011年放送の『仮面ライダーフォーゼ』は、ロケットがモチーフのライダー。頭がロケットの先端のようにとがった珍しい形になっており、制作発表の際には「ダサい」「今回のライダーは格好悪い」とネガティブな意見がライダーファンから飛び出しました。また、本作の第2ライダーは「隕石」がモチーフの「仮面ライダーメテオ」。頭が尾を引く彗星の形になっており、どことなく「ハカイダー」を思わせるデザインです。ちなみにフォーゼ役は福士蒼汰、メテオ役は吉沢亮と、後のトップ俳優2人が共演した作品でもあります。
2014年放送の『仮面ライダードライブ』に至っては、なんと「自動車」がモチーフ。ライダーは「(オートバイなどの)乗り手」を意味する言葉ですが、自動車がモチーフで、さらに作中ではバイクではなく車に乗って移動。もはやライダーでもなんでもありません。ただのドライバーです。ドライバーなのにライダーという異色の本作ですが、変身後の姿も「胴体に車のタイヤを巻き付けた」非常に個性的なスタイル。このタイヤを別のものに交換することで能力が変わるという仕組みです。攻撃技のひとつに、敵の体を抱きかかえた状態で胴体のタイヤを高速回転させて相手を削る、という悪役も真っ青な鬼畜な技もあります。いろんな意味で異色の仮面ライダーでした。
1971年に初代『仮面ライダー』が放送され、今年で節目となる50年目を迎えました。現在は、仮面ライダー通算35作目、令和シリーズでは2作目の『仮面ライダーセイバー』が放送中です。本作は「本の中の異世界」という、昨今の異世界作品ブームにしっかりとのっかった作品。さらに、小説家の主人公が聖剣の力で戦うという、「なろう」のようなテイストで、大きなお友達にも好評を博しています。現在は36話とクライマックス突入に向けて物語は進んでいます。果たして次のライダーはどんなモチーフになるのか、今から注目です。
(中田ボンベ@dcp)
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