「オーパーツ(OOPARTS)」とは? ほとんど偽物だが時に……

オーパーツ(OOPARTS)」という言葉をご存じでしょうか?

「OOPARTS」は「out-of-place artifacts」の略で、「その時代には存在しないはずの技術で作られた遺物」といった意味。

日本語では「場違いな加工品」などと呼ばれることもあります。

有名なのが、

水晶で作られた精密な頭蓋骨「クリスタル・スカル

古代遺跡から発掘されたその時代にあるはずのない飛行機の形をした「コロンビアの黄金の飛行機


photo(C)Nemequene

メキシコで大量に発掘された「アカンバロの恐竜土偶


photo(C)Fchavez2000

などが有名なオーパーツとされていますが、このようなオーパーツは現在でも見つかっているのでしょうか?

日本最強のデバンカーと呼ばれる皆神龍太郎先生にお話を伺いました。

「デバンカー(debunker)」とは、超常現象やオカルトを懐疑的に扱い、科学的に検証しようとする人のことです。

「オーパーツ」にロクなものなし ただし……

――オーパーツについてなのですが……。

皆神先生 ああ、古典的なネタですね。

・クリスタル・スカル
⇒ 近代の加工技術が使われたことが判明しており偽物。

・黄金の飛行機
⇒ 飛行機に似ているだけ。ナマズやエイなど魚をモチーフにしたものと考えられる。

・恐竜土偶
⇒ そもそも恐竜なのか? など疑念が解決されていない。
じゃあ人面獣体(獣面人体もある)の生物なども実在したのか? という疑問が湧く。

など、オーパーツと呼ばれるものには、ほとんどロクなものがないのですが(笑)。

中には「アンティキティラ島の機械」のように、綿密な科学調査が行われ、「当時の青銅加工技術は非常に高度なものだった」と、これまでの定説を覆す結果が得られたものもあります。


↑「アンティキティラ島の機械」photo from Wiki

アンティキティラ島近海で見つかったこの歯車式の機械は、紀元前150-100年に作られたと考えられていますが、天体運行を計算するための装置だったのです。

これは素晴らしい発見でした。

これは「オーパーツ」?

――現在オーパーツと呼ばれているものの中には、アンティキティラのようにスゴイものが含まれている可能性はないのでしょうか?

皆神先生 まず「クリスタル・スカル」のようにインチキが露見したものをオーパーツと呼ぶのをやめた方がいいと思います。

最近では、「オーパーツだ!」なんていわれてもスグに世界中で検証され、真相が暴かれることが多いですね。

例えば、スペインに「サラマンカ大聖堂」という新旧二つの建物があります。旧大聖堂は12世紀、新大聖堂は16(-18)世紀に建てられた(と推定される)歴史ある建造物ですが、新大聖堂に「宇宙飛行士」にそっくりなレリーフがあるのです。


photo(C)Marshall Henrie

――えっ?

皆神先生 宇宙服を着て、ヘルメットをかぶり、胸には生命維持装置のコンソールもあって、NASAの映像にある「宇宙遊泳する宇宙飛行士」にそっくりです。

――本当ですか?

皆神先生 本当です。「すわ! オーパーツか!」ってなるじゃないですか。

ところが、新大聖堂は1990年代に修復工事が行われていまして、その際にレリーフが追加されたのです。

元の彫刻がどのようなものだったか不明だったので、彫刻を担当したジェロニモ・ガルシアさんが、「20世紀にふさわしいもの」を彫ったのです。

これは本人が認めています

ガルシアさんはお茶目な人で、アイスクリームを食べるドラゴンも彫っています。


photo(C)Appolonia1

――ええーっ!

皆神先生 こういう真相を知らない場合は、宇宙飛行士のレリーフもオーパーツになってしまいますね。このレリーフは現地でとても人気があるそうですよ。サラマンカ大聖堂はもともと有名な観光地ですしね。

――最近見つかったオーパーツはあるのですか?

皆神先生 見た瞬間に「うーん」というものばかりかもしれませんが、例えば以下のようなものはどうですか?

・「Babylonokia(バビロノキア)」


photo(C)KarlWeingärtner

携帯電話そっくりの粘土製の物。メディアによっては紀元前13世紀の遺物と紹介。過去に宇宙人が地球を訪れ、携帯電話を使っていた。それを見た地球人が模して作った遺物などと説明される。

・「QRコードの頭を持つ像」
顔が四角く、そこにはQRコードそっくりな図柄が刻まれている。

・古代インドの「自転車に乗る男」
タミル・ナードゥ州のパンチャヴァルナスワミー寺院には、「自転車に乗っている男」としか見えないレリーフがある。古代インドには自転車があったのだろうか?


↑以下のYouTubeにアップロードされた動画からのキャプチャー

Bicycle Carved 2000 Years Ago – Advanced Ancient Technology Proved?

――なんだか、とても怪しいのですが。

皆神先生 そうですね(笑)。「Babylonokia(バビロノキア)」はKarl Weingärtnerという人が2012年に作った芸術作品だということが分かっています。

カールさんは、自分の作品に「紀元前13世紀」なんてキャプションが付いたことに大変驚いたそうですよ。

「QRコードの頭を持つ像」もアートワークの一種で、そのQRコードをスキャンしてみると『Altech Mexico』という電子部品ショップのサイトに接続できるそうです(笑)。

――……はあ。

皆神先生 「自転車に乗る男」については「サラマンカ大聖堂」のような話ではないのかと推測されます。

後になって誰かがレリーフを追加したのでは?というわけです。綿密に調べてみないと分かりませんけれども。

――オーパーツだといいですねぇ。

皆神先生 その方が面白いとは思いますが、往々にして真実とはつまらないものですよ(笑)。

まれに、本当にごくまれに、「アンティキティラ島の機械」みたいな素晴らしい例もありますが、オーパーツにあまり過度な期待はしない方がいいと思います。

――ありがとうございました。


かつての人類やその時代に存在した何者かが、高度な技術や現代に伝わっていない知識を持っていた可能性を示唆する「オーパーツ」。

とてもロマンと魅力にあふれているのですが「クリスタル・スカル」などのように、すでに捏造されたものと判明しているものも多々あります。

これからもそのようなものが見つかっていく可能性はありますが、期待はしないほうがよさそうです。

(高橋モータース@dcp)

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