中国の「千人計画」とは? 先進国から知的財産を強奪する手段

2008年、中国共産党は、中国の技術力を高めるために「千人計画」を策定・開始しました。

これは、最先端の研究を行う科学者に、給与研究資金研究室、その他インセンティブなど破格の待遇を提供し、その対価として研究成果知的財産を中国のものとしようという意図の下に始められています。

計画名どおり、最先端の研究者を1,000人集めること、その成果を中国が獲得することが目的です。

中国は知的財産の強奪に多額の予算をかける

千人計画のメンバーに勧誘しようという中国共産党の手は、アメリカ合衆国はじめ先進各国に広がっています。

合衆国の情報機関FBIの調査によれば、中国は2008年~2020年までに国内総生産GDPの15%を人材育成に使うと約束しています。これは2兆ドル以上の資金です。

つまり、この千人計画には中国共産党による多額の資金援助があるということです。

中国共産党はこの千人計画によって、先進各国の科学者・研究者を籠絡し、研究成果などの知的財産を中国に強奪しています。ある報告書は、2017年までに1,000人どころか、ノーベル賞受賞者を含む7,000人以上の「ハイエンドな研究者」を獲得した、としています。

千人計画のメンバーは、中国共産党と契約を結ぶのですが、その契約には破格の待遇の代わりに中国に知的財産権を与えること、契約した事実について秘密を守ることなどが盛り込まれていることが判明しています。また、契約を中国共産党の許可なく破棄することも許されていません

つまり、千人計画のメンバーは中国共産党に知的財産を提供するために働いているのであり、中国以外の国からすれば知的財産の横領者に他なりません。

先進各国は大学・大学院で長年研究してきた成果企業のエンジニアリングのノウハウなどが中国共産党の千人計画によって中国に流れてしまうことをやっと認識するようになりました。

特にアメリカ合衆国は、合衆国の知的財産を流出させている行為について摘発、逮捕を行うようになっています。また、中国共産党の無法なやり口について広く情報を公開し、中国を非難しています。

中国は千人計画を隠蔽し始めた

千人計画についての認識が世界に広がり、中国共産党の悪辣なやり口についての批判の声が頻々(ひんぴん)と上がるようになったため、中国共産党は姑息にもこの計画の存在を隠蔽し始めました。

2018年10月、中国共産党政府は千人計画についてのネット上の言及を削除しだしたのです。

中国メディアは千人計画メンバーを特集したニュース記事を削除、中国の大学はウェブサイトでのプログラムの宣伝を停止、千人計画の公式サイトはプログラムに参加している科学者の名前を削除しました。


↑千人計画の公式サイトにもアクセスできなくなっている


↑中国の国営メディア『新華社』からも千人計画の紹介記事は削除されている

また、中国共産党政府は人材紹介会社に対し「千人計画という言葉を書面や通知書に記載しないように」と指導しています。

しかし、それでもこの計画が2020年現在も秘かに中国共産党政府によって継続されていることは間違いありません。

千人計画は各国の安全保障上の脅威

中国共産党は、入手した技術をデュアルユース(軍民両方での使用)に供するつもりで、そのため先進各国の先端技術が中国の軍事力の拡大に使われます。これは先進各国にとって安全保障上の脅威です。

2020年09月現在、合衆国は中国共産党の動きについて各国に注意を促し続けています。

千人計画について日本では一般にはあまり知られていませんが、日本も自国の知的財産について中国から厳重に保護しなければならないのです。

中国が、日本の新幹線の技術をパクったくせに「独自開発だ」などと主張する、盗っ人猛々しい国であることを忘れてはいけません。

⇒参照:『アメリカ合衆国 上院』公式サイト「Threats to the U.S. Research Enterprise:China’s Talent Recruitment Plans」

(松田ステンレス@dcp)

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