「不定愁訴」とは? 体に異常はないのに……
特に体の異常はないのに、「頭が痛い」「腰痛がある」「イライラする」「眠れない」といった、体のあちこちの不調を訴えることを「不定愁訴」といいます。
本人は体の違和感を訴えるのですが、実際に調べても異常な点が見つからないために、不定愁訴はなかなか周囲に理解されないという特徴があります。
不定愁訴は更年期の女性に多く、更年期障害の症状の一つに挙げられることもあります。
更年期に不定愁訴が多い理由は?
なぜ更年期の女性に不定愁訴が見られるのでしょうか?
更年期に不定愁訴が多い理由は、女性ホルモンの分泌が急に減少することにあると考えられています。
女性ホルモンの分泌が減ると、脳の下垂体から「ゴナドトロピン」※が分泌されます。
ゴナドトロピンは、卵巣に働きかけてその発育、機能の保持を促すホルモンです。つまり、「女性ホルモンの分泌が少ないよ!」と卵巣に働きを促すわけです。しかし、ゴナドトロピンの分泌は視床下部を刺激してしまい、自律神経に影響を与えます。
自律神経は全ての内臓、血管、分泌腺などをコントロールしていますので、不調になると循環器・消化器・呼吸器のどこにでも不調が出る可能性があります。
体のあちこちに違和感を感じる「不定愁訴」は、自律神経の不調が引き起こしているから、というわけです。
※ゴナドトロピンは「性腺刺激ホルモン」の総称です。脳下垂体から分泌されるものとしては「卵胞刺激ホルモン」と「黄体形成ホルモン」があります。
更年期障害の症状はさまざまですが、検査しても特に体に異常が認められません(閉経に向かって女性ホルモンが減少するのは自然なことなので)。
しかし、本人からしてみればはっきりと体のあちこちに違和感があるのです。
ですから更年期障害は不定愁訴そのものといえるかもしれません。更年期障害は周囲から理解されにくい点があります。更年期近くになって心身に不調を感じたら、専門医の診察を受けるようにしてください。
(高橋モータース@dcp)
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