「便秘がち」など便秘に悩まされている人は少なくありません。しかし、便秘は女性の方が圧倒的に多いのです。今回は便秘についてご紹介します。
「便秘」の定義は難しい!
実は「便秘」の定義というのは難しいのです。簡単に言うと「排便の回数が減ること」なのですが、どのくらいの頻度で便通があるかは人によって異なりますので、たとえば「1日に1回便通がないと便秘」といった定義ができないのです。
『日本消化器病学会』では、「(前略)1日3-4回でもあるいは3-4日に1回でもそれが長年の排便習慣で、全く苦痛がなければ便秘と考えなくてもよいでしょう」としています。
その一方で「しかし、便秘薬を使わないと出ないとか、2日に1度でも腹がはって苦しくなるなどという場合は便秘として治療した方がよいでしょう」とも。
ですので、普段のあなたの便通の習慣と比べて、排便回数が減った、またそれによって苦しい思いをしているという場合には「便秘」となるわけです。
『国際消化器病学会』では、より突っ込んだ定義になっていて、
・硬便が排便時の25%以上(4回に1回以上は硬い便)
・用指的排便(指や綿棒などを用いて強制的に排便させる行為)が25%以上
・努責(排便時に強くいきむこと)、残便感、閉塞感がみられる頻度が25%以上
の場合は便秘で、上記の症状が6カ月前からある、少なくとも3カ月間で基準を満たす場合に「慢性便秘」と呼ぶ、としています。
ちなみに、女性の方が便秘になりやすいといわれますが、これは本当です。
厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査」によりますと、20-29歳で便秘を訴える女性は男性の約5.4倍(1,000人当たりで35.2人)、30-39歳では約3.9倍(1,000人当たり35.5人)となっています。
便秘にもいろいろな種類があります!
便秘と一口にいいますが「器質性便秘」「機能性便秘」に分かれます。
器質性の便秘は、大腸にポリープがあるなど、何か物理的な原因があって起こる便秘です。
一方の機能性便秘は、大腸の蠕動(ぜんどう)運動が十分ではない、また大腸の働きが弱っているといった機能に原因があって起こる便秘です。
日本消化器病学会では、
・変形した便が出るようになった
・便に血が混じるようになった
といった症状が現れた場合には、(これは器質性便秘で)直腸がんが疑われるので早く医者を受診するようにと勧めています。
一方の機能性便秘では主に以下の3つがあります。
蠕動運動がうまく行われずに便が押し出されなくて起こる便秘です。
・けいれん性便秘
自律神経の乱れで腸がけいれんするように動き、うまく便が押し出されなくなって起こる便秘です。
・直腸性便秘
直腸にまで便が来ているのに便意が起こらず、直腸に便が滞留し、排出されずに便秘になります。
弛緩性便秘では、「硬い便」でおなかに張りを感じるなどの特徴があります。またおなかにガスがたまりやすくておならが出やすくなります。
けいれん性便秘は主にストレスが原因で起こり、便秘になりやすい一方で下痢にもなりやすく、便秘と下痢を繰り返すという症状も見られます。ウサギのように小さくコロコロした便も特徴です。
直腸性便秘では残便感が強くなり、そもそも便が出にくく、いきまないと排便できないといった点が特徴です。
便秘の基礎知識についてご紹介しました。器質性の便秘の場合には、特に外科的な療法が必要なことがあります。同じ便秘でも、例えばやっと出た便が血便だった、といった際にはすぐに専門医を受診しましょう。また機能性便秘であっても、それが非常に深刻な場合にはやはり自分で判断せず、専門医を受診するようにするのが良いでしょう。
⇒データ出典:厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査」の「統計表 第10表」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/xls/13.xls
(高橋モータース@dcp)
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