親と同じ道に進むのはプロスポーツ界でよくあることで、プロ野球界にも二世選手が数多くいます。しかし、中にはプロ野球の道には進まず、親とは異なる世界へと進んだ二世もいます。今回は、そうした親とは違う道を選んだプロ野球選手の二世を紹介します。
モータースポーツやサッカーを選んだ二世も
野球とは違うスポーツを選んだ二世は少なくありません。長嶋茂雄さんの次男である長島正興さん(※1)は、駒沢大学在学中にレース活動をはじめ、全日本F3選手権や全日本GT選手権に参戦。アメリカ最高峰のレースシリーズ「インディカー・シリーズ」へのステップアップレースとなる「フォーミュラ・アトランティックシリーズ」に挑戦したことも話題になりました。現在はレーサーを引退。タレント名鑑によると、環境インタビュアー や環境リポーターなど、環境関連の仕事をしているようです。
また、快速を武器に大洋ホエールズで活躍した高木豊さんの息子は、3人の息子全員がプロサッカー選手になりました。長男の俊幸さんは現在セレッソ大阪に所属。U-18日本代表でも活躍しました。次男の善朗さんはアルビレックス新潟所属の選手。2011年にはJリーグでの活躍が高く評価され、オランダのユトレヒトでもプレーしています。1年目はチーム最多の6アシストをマークするも、翌年はけがの影響で出場機会が激減。けががなければさらなるステップアップも望めたかもしれません。三男の大輔さんは今季からレノファ山口に所属。こちらも日本U-17でプレーするなど、3人共に世代代表に選ばれる活躍を見せました。
俳優やタレントには野球選手の二世が多い
タレントや俳優などエンタメの世界に進んだ二世も多くいます。まずは俳優の工藤阿須加さん。父親はソフトバンクホークスの工藤公康監督。現役時代は224勝を挙げ、最優秀選手(MVP)にも二度選出された球史に残る名投手です。2015年にソフトバンクの監督に就任すると、6シーズンでリーグ優勝3回(2位も3回で3位以下になったことはなし)、日本シリーズに至っては6シーズンで5回優勝と驚異的な成績を納めています。
そんな名選手の息子である阿須加さんですが、意外にも野球経験はなし。学生時代はテニスに打ち込み、プロテニスプレーヤーを目指していましたが、肩を壊したことでテニス選手への道が絶たれ、俳優になることを夢見たそうです。しかし、一時は俳優もあきらめて東京農業大学に進学しますが、父の「一人の男として自分の人生を決めなさい」という言葉をきっかけに、再び俳優になろうと決心したといいます。その後の活躍は皆さんご存じのとおり。人気俳優の一人へと成長しました。
親子と知り驚いた人が多い桑田真澄とMatt
名投手の息子では、タレントのMattさんも挙げられます。父は巨人の中心選手だった桑田真澄さん。PL高校のエースとして清原和博さんと共に活躍し、「PL旋風」を巻き起こしました。その後、巨人にドラフト1位で入団し、20年間で173勝を挙げる活躍を見せ、現在は巨人で一軍投手チーフコーチ補佐を務めています。
息子であるMattさんは、父・真澄さんがリハビリのためにピアノを弾いていた影響で音楽が好きになりますが、父の勧めもあり小学生で野球を始めます。その際、「6年間頑張ったら好きなことをしていい」という約束をしたといいます。その約束通り、Mattさんは小学校卒業と同時に野球をやめ、大好きな音楽の道を選びました。中高と吹奏楽部に所属し、大学では音楽について学びました。Matt化と呼ばれる特徴的なメークに注目が集まっていますが、アーティストとしても活動しており、これまでに2曲をリリースしています。
声優やアナウンサーになった二世もいる
父親のビッグネームさでいえば落合福嗣さんも負けていません。父は現役時代に三冠王を3度獲得し、中日監督時代は全シーズンでAクラス入りの快挙を成し遂げた落合博満さんです。偉大な父親の影響もあり、幼少期から野球をプレーしてきた福嗣さんですが、高校時代に野球の道をあきらめ、声優になる道に進みます。実は幼いころに父と映画『ターミネーター』を見た際に声優という仕事があるのを知り、ずっと憧れを抱いていたそうです。その後、長い下積みを経て2015年に作品デビュー。2017年には野球アニメの主演に抜擢され、2019年には声優アワード・新人男優賞に選出されています。
また、阪神・西武で主砲として活躍し、歴代11位となる474本塁打を記録している田淵幸一さんの息子・裕章さんはフジテレビのアナウンサーです。父は偉大なプロ野球選手ということで、裕章さんも小中高と長く野球をプレーしました。しかし、高校時代に帝京高校と対戦した際、相手チームにいた森本稀哲さん(後にプロに入り3年連続でゴールデングラブ賞を受賞)のプレーを見て、レベルの差を痛感。これがきっかけで野球をあきらめました。その後、大学卒業後の2005年にフジテレビに入り、アナウンサーとして活躍しています。
「親とは違う道を選んだプロ野球選手の二世」をご紹介しました。プロ野球の世界で活躍した父ですが、もしも息子と同じ道を選んでいたならば、活躍していた可能性もあります。例えば、高木豊さんはサッカーの名選手になっていたかもしれませんし、桑田真澄さんは有名音楽家になっていたかもしれませんね。
(中田ボンベ@dcp)
※1……父である茂雄氏は「長嶋」表記、正興氏は「長島」を公式表記として使用
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