加齢による「基礎代謝」の変化とは?

基礎代謝」とは、簡単にいえば「何もしなくても消費されるエネルギー」のことです。成人男性ならだいたい1,500kcalといわれていますが、どのくらいが「基準値」なのかご存じでしょうか? また、これは加齢でどのくらい変化するのでしょうか?

基礎代謝ってそもそも何?

私たちの体は、脳や心臓を動かしたり、体温を維持するために常にエネルギーを消費しています。そうした生命維持に必要なエネルギー消費のことを「基礎代謝」といいます。

この基礎代謝量を上回る量のエネルギーを摂取した場合に、運動などでその余分なエネルギーを消費することができなければ、脂肪となって蓄積されます。体に脂肪がついて太ってしまうのはこうした仕組みです。

もちろん、1日の総摂取エネルギーが基礎代謝量を下回れば、エネルギー不足となります。この場合には、生命活動を維持するために体内に蓄積していたエネルギー(脂肪)を消費します。これが体が痩せる理由です。

基礎代謝量の基準値はどのくらい?

では、基礎代謝量はどのくらいが基準となるのでしょうか? 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、1日の基礎代謝量の年齢別の基準値は以下のようになっています。

・1~2歳 男性:700kcal(11.5kg) 女性:660kcal(11.0kg)
・3~5歳 男性:900kcal(16.5kg) 女性:840kcal(16.1kg)
・6~7歳 男性:980kcal(22.2kg) 女性:920kcal(21.9kg)
・8~9歳 男性:1,140kcal(28.0kg) 女性:1,050kcal(27.4kg)
・10~11歳 男性:1,330kcal(35.6kg) 女性:1,260kcal(36.3kg)
・12~14歳 男性:1,520kcal(49.0kg) 女性:1,410kcal(47.5kg)
・15~17歳 男性:1,610kcal(59.7kg) 女性:1,310kcal(51.9kg)
・18~29歳 男性:1,520kcal(63.2kg) 女性:1,110kcal(50.0kg)
・30~49歳 男性:1,530kcal(68.5kg) 女性:1,150kcal(53.1kg)
・50~69歳 男性:1,400kcal(65.3kg) 女性:1,100kcal(53.0kg)
・70歳以上 男性:1,290kcal(60.0kg) 女性:1,020kcal(49.5kg)
※( )内は参照体重

男女共に10代でピークを迎え、その後年齢を重ねるごとに基礎代謝量が落ちていきます。その理由は筋肉量の低下です。筋肉はエネルギーを大きく消費する部分ですから、その量が低下すると基礎代謝も落ちてしまうのです。

女性の場合は特に加齢による基礎代謝量の減少が顕著で、10代前半では1,410kcalだったものが10代後半から1,110kcalと大きく下がっています。また、基礎代謝そのものも低いですから、女性は「太りやすく痩せにくい」といえるのかもしれません。

基礎代謝量を把握しておこう!

上で紹介した基礎代謝量の基準値はあくまで「基準」です。同じ20代でも身長や体重、筋肉量で基礎代謝量は大きく変わるため、自分の基礎代謝量がどのくらいなのか把握しておくことが重要です。

自分の基礎代謝量を知る簡単な方法としては、厚生労働省が定めている1日の基礎代謝基準値に自分の体重を掛けて計算する方法があります。以下に基礎代謝基準値をまとめてみました。

・1~2歳 男性:61.0kcal/kg 女性:59.7kcal/kg
・3~5歳 男性:54.8kcal/kg 女性:52.2kcal/kg
・6~7歳 男性:44.3kcal/kg 女性:41.9kcal/kg
・8~9歳 男性:40.8kcal/kg 女性:38.3kcal/kg
・10~11歳 男性:37.4kcal/kg 女性:34.8kcal/kg
・12~14歳 男性:31.0kcal/kg 女性:29.6kcal/kg
・15~17歳 男性:27.0kcal/kg 女性:25.3kcal/kg
・18~29歳 男性:24.0kcal/kg 女性:22.1kcal/kg
・30~49歳 男性:22.3kcal/kg 女性:21.7kcal/kg
・50~69歳 男性:21.5kcal/kg 女性:20.7kcal/kg
・70歳以上 男性:21.5kcal/kg 女性:20.7kcal/kg

計算式は、

基礎代謝基準値×体重=基礎代謝量

です。20歳の女性で体重が50kgならば、

22.1×50.0=1,105kcal

となりますね。

ほかには、「体脂肪計」でも計測できます。多くの体脂肪計では、あらかじめ入力した身長・年齢などのデータと体重、筋肉量を参考に基礎代謝量を計算してくれます。

また、呼気から代謝を測定する「メタボリックアナライザー」もあります。ただ、これは一般の家庭では購入は難しいため、もし最寄りの病院に設置されていれば、使ってみるといいでしょう。

「年齢ごとの基礎代謝基準値」についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 特に女性は10代後半から基礎代謝が大きく下がることは、知らなかったという人もいらっしゃるでしょう。

基礎代謝量を把握していれば、食べ過ぎて太ってしまうことを防ぐことができますし、食べなさ過ぎを防ぐこともできます。「自分の基礎代謝量が分からない」という人は、健康を維持するためにも一度測ってみてはいかがでしょうか?

データ引用元:『厚生労働省』「日本人の食事摂取基準2015年版」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000083871.pdf

(松田ステンレス@dcp)

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