結婚はゴールではありません。むしろ結婚してからの時間の方が長いのです。恋愛中にはいくらでもイチャイチャできたとしても、時間がたつと愛情は質を変えていくものです。
心理学者は「恋愛」や「愛情」についても研究しており、その成果の中には「離婚」についてのものもあります。
世界中の結婚カップルを調査してみると……
自然人類学者のヘレン・フィッシャー(Helen Fisher)博士は、人間の愛情について心理学的、神経科学的など多方面から長年調査研究を行っています。
フィッシャー博士は62の国・地域・民族グループの「離婚」について調べ(国連の人口統計年鑑を基にしています)、
ことを発見しました。
フィッシャー博士は、私たちはキツネのつがいと同じようにプログラムされている、と主張しています。つまり、
というわけです。
人が恋に落ちて、その情熱や心酔といった感情が持つのは3年で、その後はピークアウトしてそのような感情もどんどん薄らいでいき、4年たつと別れてしまうというのです。
「浮気」はプログラムのせいかもしれない
もしこの主張が正しいのであれば、いわゆる「3年目の浮気」という言葉は、脳内の働きをうまく言い当てていることになります(ただし、フィッシャー博士の原著(記事末参照)では4年目の離婚が多いので博士自身は「4年目の浮気」と書いています)。
しかし、たとえ私たちの脳がそのようにプログラムされていたとしても、結婚後も離婚しないカップルはいますし、離婚しない夫婦のほうが多いのです。
離婚大国といわれるアメリカでも離婚率は約50%(2組に1組が別れる)ですし、離婚率が高くなった日本でも離婚率はまだ約3割(3組に1組が別れる)です。
ですから、3・4年を過ぎても別れないで関係を維持する夫婦には、何か別の心理的な働きがあるものと考えられます。
最近では、fMRI(脳や脊髄の活動を画像化できる装置です)を使って、脳の仕組みから恋愛・愛情について明らかにしようという研究も行われています。「愛情」がどこから来るのか、どのような脳内の作用によってつくられているのか、解明の取り組みは続いています。
⇒参考文献:Helen Fisher『Anatomy of Love』,1992
(日本語版『愛はなぜ終わるのか 結婚・不倫・離婚の自然史』訳:吉田利子,株式会社草思社,1993年6月28日第9刷)
(高橋モータース@dcp)
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