「心身症」とは?

心身症」という病名があります。読者の皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、「心」「身」という字が使われているとおり、「心の病気」であり「体の病気」でもある……という厄介なものです。ただし、精神疾患(mental disorder)というわけではないのです。

今回は「心身症」についてご紹介します。

厳密には「心身症」は心の病気ではない

心身症には、客観的な症状としての病気が伴います。代表的なものは、


・高血圧
・胃炎
・気管支ぜんそく

です。体の異常・病気が見られますから「体の病気」なのですが、心の状態が体の病気を引き起こしていると思われる場合には、「心身症」と診断されることがあるのです。

心身症として現れる病気には以下のようなものがあります。

●心身症として現れる病気
・気管支ぜんそく
・過換気症候群
・神経性咳嗽(がいそう)
・高血圧症/低血圧症
・胃・十二指腸潰瘍
・慢性胃炎
・過敏性腸症候群
・潰瘍性大腸炎
・神経性やせ症/神経性過食症
・甲状腺機能亢進(こうしん)症
・糖尿病
・緊張型頭痛/片頭痛/慢性疼痛(とうつう)
・神経性頻尿
・心因性尿閉
・心因性勃起不全

関節リウマチ
腰痛慢性じんましん円形脱毛症更年期障害なども心身症の症状に挙げられることがあります。

このように心身症とされる(内科の)病気は、呼吸器系、循環器系など本当にさまざまです。

「心身症」はなぜ起こる?

心身症の原因の多くは「ストレス」といわれています。

自律神経内分泌系などの体を調節する機能がストレスによって変調し、それで病気が現れるのではないか、というわけです。

実際にどのようにして起こるのかについては、実はよく分かっていません

同じようなストレス環境にあっても、病気になる人とならない人がいるので、ストレスだけが原因とは言い切れないところがあります。

しかし、ストレスが軽減されると症状が軽くなることが多いので、ストレスとの関連が高いのは確かであると考えられています。

男性の場合には30・40代、女性の場合は20代・30代で心身症と診断される人が多いといわれています。

この年代は、家庭・職場で責任が重くなる時期。

女性なら結婚・出産・育児などのライフイベントがあり、妻・母の役割が追加されて、それまでよりもストレスが強くなります。

それで心身症と診断される女性が多くなると考えられるのです。

心身症の治療は?

心身症の治療は、体の病気に対応することが第一です。

気管支ぜんそくなら気管支を広げる薬を処方してもらって病気の症状を緩和させます。たとえ根っこに精神的な原因があるとしても、まずは体の症状に対処しないと仕方がないからです。

気管支ぜんそくなら呼吸器科、胃炎なら消化器科など、病気に合わせて専門医を受診するようにしましょう。その上で、医師と相談して、必要であれば精神科などにかかるのがよいでしょう。

最近では、心療内科で治療を受ける人も増えていますが、内科の専門医の治療と精神的な治療がうまく併用されることが望ましいのです。

心身症は、ストレスが大きくなると症状も深刻になることが多い面倒な病気※なのです。女性の場合には、結婚・出産・育児などによってストレスが強まることが考えられます。

自分なりのストレス発散法を持っておき、普段からストレスをためないように心掛けるのがよいと考えられています。

※病気というよりも「病態」と呼ぶほうが正確と指摘される先生もいらっしゃいます

(高橋モータース@dcp)

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