清涼飲料や機能性食品などで「レモン○個分のビタミンC」という表現が使われることがあります。
この言い回しは感覚的にも分かりやすいためかよく使われます。では、具体的に「レモン一個分のビタミンC」はくらいの量なのでしょうか?
「レモン一個分」は「20mgのビタミンC」が目安!
レモンにはビタミンCが豊富な食品というイメージがありますので、「レモン何個分」と言えば、いかにもビタミンCが多く含まれた製品という印象になります。
「ビタミンCを800mg配合」と数値で表記されるだけではあまりピンときませんが、これが「レモン40個分のビタミンCを配合」となると、不思議なものでその量が具体的に感じられますね。
問題は「レモン一個分に含まれるビタミンCの量はどのくらいなのか?」です。
さまざまなメーカーが同様の表記を用い、A社では「レモン一個分のビタミンCは50mg」、B社では「レモン一個分のビタミンCは80mg」と基準がバラバラだった場合、同じ400mgのビタミンCを配合した清涼飲料であっても、
A社:レモン8個分のビタミンC配合!
B社:レモン5個分のビタミンC配合!
となって、消費者を惑わせてしまいます。
ですから、レモン一個分のビタミンCが何mgなのかを決めておいたほうが消費者にとって有益ですね。
もともとは1987年に農林水産省が定めた「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」があって、「レモン1個分のビタミンCは20mgを基準」となっていました。
しかし、これが2008年に廃止されます。新たな基準が必要ということで、2009年に『全国清涼飲料連合会』は「『レモン果実1個当たりのビタミンC量』表示ガイドライン」を定めました。
これによれば、
清涼飲料水に添加されたビタミンC量をレモン果実の個数により表示する場合には、レモン果実1個当たり 「20mg換算」を基準とすることが適切である。
となっています。またその計算根拠は、
120g(レモン1個重量) × 30%(果汁分) × 50mg(V.C) / 100g(果汁) ≒ 20mg
というものです。
ちなみにレモン1個の重量は、『厚生労働省』の「食品番号表(平成13年国民栄養調査)」にある、レモンの1個当たりの「目安重量」を参照したもの。
ビタミン含有量は『文部科学省』の「日本食品標準成分表(五訂版)」にある、「レモン果汁(全果に対する果汁分30%)100g当たり50㎎」を参照したものです。
⇒データ引用元:『一般社団法人 全国清涼飲料連合会』「『レモン果実1個当たりのビタミンC量』表示ガイドライン」
http://www.j-sda.or.jp/manufacturing/regulations_and_guidelines04.php
つまり現在でも目安は、
「レモン一個分のビタミンCは20mg」
ということになります。
レモン何個分という表記は確かにイメージしやすい表現なのですが、製品に配合されているのが、必ずしも「レモン由来の天然ビタミンCではない」点に注意してください。
このような表現の場合、「アスコルビン酸」と呼ばれる合成ビタミンCを添加していることが多いのです。この合成ビタミンCを添加すれば、レモン果汁1%でも「レモン○個分のビタミンC配合」とすることができます。
たとえ「レモン50個分」という表記でも、実際にレモン50個を使っているわけではないのです。
(高橋モータース@dcp)
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