「缶詰は何年経過しても食べられる!」という話があります。これは本当なのでしょうか?
缶詰は理論上は腐らない
『日本缶詰びん詰レトルト食品協会』の藤崎享さんにお話を伺い、まとめてみました。
藤崎さんによると、「缶詰は理論上では腐ることはない」のだそうです。
というのも、缶詰は製造工程で密封して加熱殺菌し、中を無菌状態にするからなのだとか。
無菌状態ですから、内容物を腐敗させる菌や微生物もいないため「内容物が腐る」ということが起こらないのだそうです。
何年経過しても、そのまま中の無菌状態が保たれるのならば、理論上では腐らずに持つということになるのです。
ただし、中は腐らなくても外部の缶は腐食してしまうので、それにより穴や隙間ができてしまうと、そこから菌や微生物が入って内容物が腐敗してしまいます。
理論上長期保存できるが食べたいかどうかは別
理論上は腐らない缶詰ですが、どのように保存するのがいいのでしょうか。
藤崎さんによると、まずは「高温の場所やずっと光が当たるような場所、湿気の多い場所は避ける」のがポイントになるようです。
つまりその反対の「冷暗所で保存するのがいい」ということです。
ちなみに缶詰の長期保存の歴史では、1938年にイギリスで「114年間保存されていた缶詰を開けて食べた」という記録が残っています。
北極観測隊用の肉や野菜の缶詰で、試食した結果味や匂いは悪くなく、問題なく食べることができたそうです。
まだ缶詰加工技術がそこまで発達していない当時の缶詰でもそこまで長持ちしたということですから、うまく保存すると缶詰は長持ちするということですね。
もちろん缶詰も食品ですから、「おいしく食べられる目安」である賞味期限が設けられています。それを超えて長期間保存できたとしても、その缶詰を食べたいかはその人次第。そこが難しいところですね。
「賞味期限」と「消費期限」の違い
賞味期限は、「この日付けまではおいしく食べられますよ」という期限を示しています。
食品にはおいしさが減退していくポイントというものがあり、食品に表示されている賞味期限は、安全のために「実際に味が落ちる期限よりもかなり前倒しの表示」になっているそうです。
多くの人が「賞味期限とは、そこで食べられなくなる期限の表示」と思っていますが、それは間違いです。
一方、「消費期限」は、お弁当やお惣菜など比較的鮮度の落ちやすいものに表示されます。
賞味期限と同じく、安全のために「前倒しにされた時間」が表示されていますが、こちらはできるだけ早めに消費するように推奨されています。
「賞味期限」「消費期限」、この二つについてしっかりと覚えておくと、役立つかもしれません。
最近は防災意識の向上により、家に非常食として缶詰などを備蓄している人も増えてきました。
そうした備蓄品は賞味期限が過ぎてしまいがちですが、缶詰などは保存状態がよければそのまま食べることができる可能性があります。もしものときに役立つよう、正しい状態で保存しておきたいですね。
取材協力:『日本缶詰びん詰レトルト食品協会HP』
http://www.jca-can.or.jp/index.html
(中田ボンベ@dcp)
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