出産時の痛みを「鼻の穴からスイカを出すよう」と、よく分からないたとえで表現したりしますが、それだけ想像を絶する痛みということです。
では、赤ちゃんを産む際に、なぜこうした激痛を伴うのでしょうか。今回は「出産時の痛み」についてまとめてみました。
産痛はなぜ起こるの?
出産時には、おなかや腰などさまざまな部位に痛みが生じます。これらの出産に関して引き起こされる痛みのことを、総じて「産痛」と呼びます。
産痛は、まず分娩(ぶんべん)第一期と呼ばれる、子宮口が全開になる過程で発生します。子宮の中の胎児が十分に大きくなると、出産するために子宮が収縮を始めます。この収縮の過程で起こる痛みが「陣痛」と呼ばれるものです。
その後、胎児が出るために少しずつ子宮口が押し広げられます。このときにも痛みが生じます。開口によって起こる痛みなので「開口痛」とも呼ばれます。開口痛は、主に下腹部と腰が痛むのが特徴です。
子宮口が十分に開いたら、胎児が体外に出るために産道に進みます。これが分娩第二期です。胎児が産道を進むため、産道の筋膜などが圧迫、刺激され痛みが生じます。このとき、まだ子宮口も広がったままなので、開口痛も伴います。
その後、産道を通った胎児は膣口(ちつこう)から体外に出ますが、その際に膣口が大きく開きます。このときも産道を通る痛みと膣口が大きく開くため痛みが生じるのです。分娩第二期では、下腹部痛に加え、膣口と肛門をつなぐ会陰(えいん)部も痛みます。
産痛は人によって異なる?
「死ぬほど痛かった」という人がいる一方で、「全く痛くなかった」という人がいるなど、産痛は個人差が大きいのが特徴です。
痛みに差が出る理由としては、胎児の大きさ、骨盤の形、産道の柔らかさなど複数の要素が挙げられます。また、痛みの感じ方は人によってかなり差が出ます。これらが、産痛に個人差が出る要因だといわれています。
産後も痛みに耐える必要がある?
産痛は、胎児を体外に出す過程で生じています。しかし、出産に伴う痛みはこれだけではありません。
出産後も、いろいろな痛みに悩まされることがあるのです。
まずは広がった子宮が元の大きさに戻る過程で起こる「後陣痛」です。子宮筋の収縮という、陣痛と同様の現象が起こるために、陣痛に似た痛みを引き起こします。
また、強くいきむと会陰部に強い力がかかり、場合によっては大きく裂けてしまうことがあります。そのため、出産時にあらかじめ会陰部を切開することがあります。切開時は局部麻酔を施すために痛みはありませんが、産後に麻酔が切れるとひどく痛むことがあります。「後陣痛や切開した会陰部の痛みのほうがつらかった」という人もいるため、産後も油断は禁物です。
「出産時の痛み」について、痛みが発生するプロセスをご紹介しました。痛い痛いと聞くと、出産に恐怖してしまいますが、最近では無痛分娩や和痛分娩など、痛みを抑える分娩方法も選択できます。自分に合った方法を選択するといいですね。
(松田ステンレス@dcp)
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