「フラワーロック」とは?

1988年に『タカラトミー(当時:タカラ)』から『フラワーロック』というおもちゃが発売されました。これは「サングラスを掛けたヒマワリ」が音に反応して踊る、というもので、全世界で850万個を売り上げるほどの大ヒット商品となりました。「自分も持っていた」という人は多いでしょう。今回は『フラワーロック』について、誕生の背景やブームのきっかけなどを調べてみました。

『フラワーロック』ってどんなおもちゃ?

『フラワーロック』は、「サングラスを掛けた鉢植えの花」という姿のおもちゃです。内部にセンサーを搭載しており、近くで音がすると反応し、まるで踊っているように動きました。そのため、オーディオ機器の近くや自動車の中に置いていた人が多かったですね。

『フラワーロック』が生まれた背景

『フラワーロック』が発売される1年前、テレビアニメ『のらくろクン』のグッズとして『のらくろロック』が発売されました。仕組みは後に出る『フラワーロック』と同じで、のらくろの人形が音に合わせて動きました。

もともと子ども向けの商品として開発された『のらくろロック』は発売後、子どもだけでなく20代のOLを中心とした大人の間でも人気になりました。当時は大人がおもちゃを買うということは非常に珍しい現象で、「大人がおもちゃを買うなんて!」とタカラトミー内でも大きな衝撃が走ったそうです。この商品のヒットがきっかけとなり、年齢に関係なく楽しめる玩具である『フラワーロック』が開発された、といいます。

また、この商品は「人とモノとの心(ハート)の触れ合いを豊かにする『ハーティー・コミュニケーション』」をコンセプトとして生み出されたそうです。タカラトミーによると、「それまで『子どもの物』と考えられていた玩具を通して得た感動や驚きが、子ども大人に関係なく、人と人の心(ハート)をつなげる玩具になってほしいという思いが込められています」とのこと。

現在タカラトミーでは『フラワーロック』を「ハーティー・トイ」の先駆と位置付けています。

ブームのきっかけは?

『フラワーロック』は当時の20~30代の人を中心に、全世界で850万個を売り上げました。『フラワーロック』の前で手を叩いたり声を出したりすると反応して動くので、それにつられて興味を持った人がたくさんいました。おもちゃの仕組みはシンプルですが、デザインのユニークさ、動きのコミカルさが若者のハートをつかみ、大ヒット商品になったといわれています。

また、『フラワーロック』の動きは人の目を引くため、集客のために店頭に設置するお店もありました。昔、飲食店や美容院などで『フラワーロック』を見たことがある人もいるのではないでしょうか。単なるおもちゃとしてだけではなく、このような使い方がされたこともヒットの要因だと考えられます。

『フラワーロック』の姉妹品?

『フラワーロック』には、似たコンセプトの姉妹品が幾つかありました。’90年に発売された『ミュージカン』は、清涼飲料の缶をモチーフにしたおもちゃで、サングラスを掛けた缶が音に反応して踊るというもの。

「音」ではなく「光」に反応するおもちゃもありました。小型の植木鉢を模した『フラワーキューブ』、サボテンの『サボキューブ』、キノコの『マッシュキューブ』などで、これらには太陽電池が取り付けられており、光に反応してゆらゆらと動きます。

2008年には進化版の『フラワーロック2.0』が発売されていた

また、2008年には『フラワーロック』の進化版『フラワーロック2.0』が発売されました。初代の『フラワーロック』に比べ、以下の特徴がありました。

・平面フルカラーLEDを採用
平面フルカラーLEDにより、音楽に合わせて花びらや葉っぱが光ります。光り方は7種類あり、モード切り換えが可能です。

・音楽プレーヤーと接続可能
スピーカーとLINE入力端子が付いており、LINE出力のできる機器の外部スピーカーとして利用できます。付属のコードを使って2台の『フラワーロック2.0』を接続すれば、ステレオ再生も可能です(1台の場合はモノラル再生になります)。

・デザインは『三洋電機』とのコラボレーション
『フラワーロック2.0』はタカラトミーだけでなく、三洋電機のデザインチームとのコラボレーションによるデザインです。三洋電機は2006年度の「グッドデザイン賞金賞」、2007年度の「グッドデザイン大賞」を受賞しました。

現在タカラトミーでは『フラワーロック』『フラワーロック2.0』『ミュージカン』『フラワーキューブ』『サボキューブ』『マッシュキューブ』のいずれも販売していません。

『フラワーロック』はゲームのように能動的に遊ぶおもちゃではありませんが、コミカルな動きは音楽に合わせて踊っているようで、ぼんやり眺めて楽しむことができました。『フラワーロック』がまだ家にあるなら、スピーカーの近くに置いてみてもいいでしょう。ちょっとしたストレス解消になるかもしれません。

(松田ステンレス@dcp)

取材協力:株式会社タカラトミー

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