皆さんは『レインボースプリング』という名前の玩具を知っていますか? 金属やプラスチックがスプリング状になっていて、最初に軽く勢いを付けると、後はバネの原理で伸び縮みしながらまるでシャクトリ虫のように動いていく、という不思議な玩具です。
その独特の動きが面白いため世界的にヒットしました。今回は、一世を風靡(ふうび)した『マジックスプリング』について調べてみました。
発祥はアメリカ!
レインボースプリングは海外では『スリンキー(Slinky)』と呼ばれており、その発祥はアメリカです。海軍のエンジニアだったリチャード・ジェームズが、1943年にスプリングを床に落としたときの動きを見て思いついたものです。1945年には特許を取得。
同年、妻のベティと協力して400個のスリンキーを作り、クリスマスにフィラデルフィアのデパートで販売したところ、およそ90分で完売したそうです。
その後、1952年には胴体部分がスリンキーになっている犬型の玩具「スリンキードッグ」を発売し大ヒット。スリンキードッグは映画『トイ・ストーリー』でもおなじみですね。
1970年代には、安全面を考慮したプラスチック製のスリンキーも登場。特にレインボーカラーになっているものが人気となり、アメリカ国外でも多く流通しました。
日本では1960年代に大ヒット
日本では1960年代に流行しました。当時ヒットしたのは本家のスリンキーではなく、『三光発条株式会社』(現:サンコースプリング)が1967年(昭和42年)に販売した『TOMBOY(トムボーイ)』という商品でした。
本家同様に鉄製で、パッケージには「TOMBOYが勝手に階段を降りていくイラスト」が描かれていました。このイラストを参考に、多くの子どもが階段で遊んだものです。一時は数多くの類似品も出回りましたが、ブームの終息とともに淘汰されていきます。
ブームは終息したものの、スリンキーは日本でも定番の玩具として定着しました。また、1970年代になると本家のプラスチック製のスリンキーが輸入販売されるようになります。前述のように、プラスチック製のスリンキーはレインボーカラーが人気だったため、日本でも同色のものが展開されましたが、見た目から「レインボースプリング」に名称変更。以降この「レインボースプリング」が定着します。こうした経緯から、日本ではスリンキー、トムボーイ、レインボースプリングと、幾つかの名称で呼ばれているのです。
キン肉マン世代にもおなじみ
1980年代に大ヒットした人気漫画『キン肉マン』には、スリンキーに似た形状の悪魔超人・スプリングマンが登場しました。このスプリングマンの必殺技が、バネの力で相手を締め上げる「デビルトムボーイ」。大ヒットした「TOMBOY」の名前が入った必殺技名を見て、にやりとなった人も多かったでしょう。
『レインボースプリング』の歴史をご紹介しましたが、皆さんはご存じでしたか? ちなみにスリンキーは、現在までに全世界で4億個も売れているそうです。「スプリングを落としたこと」がきっかけで、ここまで大ヒットするおもちゃが生まれたのは、なんとも興味深いですよね。大ヒットのヒントは意外なところにある、ということでしょう。
(松田ステンレス@dcp)
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