「ラーメンと動物は視聴率を取るんだなぁ」とは、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』で有名な菅プロデューサーの名言。実際、おいしいものを紹介する食レポは、どの局、どの情報番組でも人気です。しかし、食レポを見ていると「褒めるフレーズ」もよく聞くものばかりで、いささか食傷気味にならないでしょうか?
今回は「食レポでよく耳にするフレーズ」について聞きました。
なぜ「甘い」はホメ言葉
「甘みがある、甘味が感じられるなど『甘い』という言葉が多く使われているような気がする。甘いはなぜ褒め言葉になっているんでしょうか」
「トンカツなどの揚げ物でも甘味があるなんて言う。『脂が甘い』とか言いますよね。『甘い』はよく耳にするフレーズだと思う」
俗に「甘いはうまいに通じる」なんていいます。「うまい」は「甘い」からきた言葉であるといわれますし、感覚的にも「甘い」は褒め言葉の一つになっているようです。
「やさしい味」ってナニ!?
「『やさしい味』っていう表現をよく聞くけど、具体的にどんな味なのかよく分からない」
「よく聞くフレーズですが、『やさしい味』というのは家庭的という意味でしょうか」
確かに「やさしい味」という表現も食レポではよく使われますね。肯定的に取れる場合もありますが、「味の輪郭がぼけている」「薄味すぎてとらえどころがない」「パンチがない」など、否定的な意見の婉曲表現で使われることもあるのでは!?
「口の中で溶ける」
「口に入れると溶けてしまう、というフレーズはもう聞き飽きた」
「『口に入れた瞬間に溶けてしまう』はよく聞きます。本当かなって思います」
例えば、マグロの大トロなど脂分の多い魚や、神戸牛などの霜降り肉を用いた料理では、その味わいを「口の中で溶けるよう」と言ったりしますよね。要は脂分が多いことを表しているわけです。年を取るにつれ「霜降り肉より赤身肉だな」と嗜好が変化したりするものですが……。
「ジューシー」「肉汁」
「『とってもジューシー』など、『ジューシー』という言葉はよく聞くと思う」
「『強火で肉汁を封じ込めているんですね』とか、肉汁という言葉がよく登場する」
確かに「肉汁」はよく聞く言葉です。「まず強火で肉表面を焼き固め、肉汁を封じ込めます」と手順を紹介したり、「ひと口かむと肉汁があふれ出てきますね」と言ったりしますね。また「ジューシー」もレポーターがよく使う言葉です。
「深みがある」 浅いのはどんな味?
「味に深みがある、とかよく言うと思う」
「深みがある」が何を指しているのかは微妙なところですが、例えば「きちんと出汁(だし)が取れている」「下味がきちんと付いている」「下ごしらえが完璧だった」といった場合には,「味に深みが出る」のではないでしょうか。逆に「浅い」という場合は、「出汁がひけていない」「下ごしらえがいい加減」ということでしょうね。
「フレーバー」ってどういう意味?
「『フレーバー』はよく聞く。雰囲気で使われている感じもするけど」
フレーバーは「風味」や「香味」といった意味ですが、この意味を超えてレポーターの感じ方で自由に使われているかもしれません。
宝石箱! 結局どんな味なの?
「味の宝石箱やー。イメージの話であって、結局どんな味がしたのかは視聴者にあまり伝わらないような気がする」
これは彦摩呂さんですよね。彦磨呂さんが食レポに出すぎってことでしょうか!?
というわけで、食レポでよく聞くフレーズを挙げてもらい、ピックアップしてみましたが、いかがだったでしょうか。味を言語化するのは大変に難しい、といわれます。味をほかの味で例えるというのもおかしな話ですし、おいしいものの味をうまく言語化して、視聴者に分かりやすく伝えるというのも一つの才能なのでしょう。いい表現があったら、みんな使うでしょうから、食レポで頻出するフレーズがあっても無理はないのかもしれません。あなたは、「食レポでよく聞くフレーズ」といえば、どんな表現を挙げますか?
(松田ステンレス@dcp)
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