台湾の「反浸透法」とは?

台湾中華民国)の「反浸透法」は、2019年12月31日に台湾立法院で可決され法律となりました。

海外の敵対勢力境外敵對勢力)と書き、「中華人民共和国」(中国)を名指ししてはいませんが、中国による内政干渉を防ぐことを主眼として作られたものです。

第一条には以下のとおり、本法律の目的を規定しています。

第 1 條
為防範境外敵對勢力之滲透干預,確保國家安全及社會安定,維護中華民
國主權及自由民主憲政秩序,特制定本法。

第一条
外国からの敵軍の侵入・介入を防ぎ、国家の安全と社会の安定を確保し、中華民国の主権及び自由民主憲法のよる秩序を守るために特に本法を定めるものである。

⇒参照・引用元:『台湾 全國法規資料庫』公式サイト「反滲透法」(原文・中国語/筆者(バカ)意訳)

同法は海外勢力による浸透工作によって、台湾国内の政策が左右されること、国益が損なわれることを防ぐための法律ですので、第二条に「浸透源」(滲透來源)という言葉が定義されています。この点が大きな特徴です。

第 2 條
本法用詞定義如下:
一、境外敵對勢力:指與我國交戰或武力對峙之國家、政治實體或團體。
主張採取非和平手段危害我國主權之國家、政治實體或團體,亦同。

二、滲透來源:
(一)境外敵對勢力之政府及所屬組織、機構或其派遣之人。
(二)境外敵對勢力之政黨或其他訴求政治目的之組織、團體或其派遣之
人。
(三)前二目各組織、機構、團體所設立或實質控制之各類組織、機構、
團體或其派遣之人。

第二条
本法で使われる用語を次のように定義する。

1. 境外敵対勢力:我が国と戦争をしている国、政治的主体、または武力で対立している集団を指す。
中華民国の主権を危険にさらすために非平和的な手段を使うことを主張する国、政治団体、グループも同様。

2.浸透源
(1) 外国にある敵対勢力の政府及びそれらが所属する組織・機関またはそれらが派遣する者。
(2) 敵対勢力の政党、または政治目的を追求するその他の組織、団体、道具、またそれらの派遣者。
(3) 前2項の組織、機関、団体が設立した、または実質的に支配している全ての種類の組織、機関、団体、送ってくる組織や人。

蔡英文総統は「中国のあらゆる方向からの浸透に対する台湾社会の恐怖」と述べていますので、この境外敵対勢力と浸透源が「中国」を指すのは明らかです。

第三条では「浸透源から指示を受けて政治献金資金援助などを行ってはならない」とし、違反した場合には「5年以下の懲役および1,000万台湾ドル以下の罰金」を課すとしています。

第四条では「総統、または副総統の選挙において浸透源の指示を受ける、委託される、資金提供されてはならない」としています。

これは「境外敵対勢力」の選挙への干渉を防ぐためです。違反した場合は、同様に「5年以下の懲役および1,000万台湾ドル以下の罰金」です。

第五条では「何人も浸透源からの指示、資金援助を受けて遊説行為を行ってはならない」としています。

いってみれば、「境外敵対勢力」による風説の流布を避けたいわけです。違反した場合は「50万台湾ドル以上500万台湾ドル以下の罰金」です。

全11条からなる短い法律ですが、上記の条項でも分かるとおり、要するに同法は浸透源からの指示、委託、出資(金銭の提供)を受けて行う行為について罰則を定めた法律となっているのです。

全文はぜひ上掲のリンクで確認してください。

(吉田ハンチング@dcp)

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