「たばこ依存」とは? なぜやめられないのか?

喫煙者の割合はずいぶん減りました。しかし、どうしてもたばこをやめられないという人もいらっしゃるでしょう。

今回は「たばこ依存」についてです。なぜやめられないのか、そのメカニズムとやめる方法についてもご紹介します。

たばこをやめられない理由は?

昔は現在に比べてまだ喫煙者に優しい環境でした。お金さえあれば子供でもたばこを買えましたし、たばこの値段も今よりもずっと安価でした。オフィスでは自分の席で仕事をしながらでも吸えましたし、飲食店、駅などで吸うことも許されていました。

しかし、現在では多くのオフィスでは禁煙になり、公共の場所では基本的にたばこは吸えません。喫煙者にとっては厳しい環境だといえるでしょう。

喫煙者の多くが一度は「禁煙しよう」と考えたことがあるはずですが、実際に禁煙に成功するのは難しいようです。また、せっかく禁煙できたのに、なぜか再び喫煙者に逆戻りするという人もいらっしゃいます。なぜたばこをやめられないのでしょうか。

●ニコチン依存症
たばこをやめられないのは、たばこに含まれている「ニコチン」に依存性があるからです。次のような流れから、ニコチン依存症に至ります。

①たばこを吸うとニコチンは肺からすぐに脳に達します。

②脳に達したニコチンは「ニコチン受容体」と結合し、「ドーパミン」を放出します。

③ドーパミンにより快感が生じ、また吸いたくなります。

④①-③を繰り返すうち、ニコチンが切れるといらいらするなどの「禁断症状」を起こすようになります。

⑤禁断症状から逃れるため、たばこを吸います。


ニコチン依存症
になると、たばこを吸うことで集中力が増したり気分が落ち着いたりする一方、ニコチンが切れるといらいらして集中できなくなり、また次のたばこに手が伸びてしまうのです。

●たばこを吸うのが習慣化している
日常生活の決まったタイミングでたばこを吸うという喫煙者は少なくないでしょう。たとえば食後や、トイレで用を足しているとき、仕事中の気分転換、自動車を運転しているときなどにたばこを吸うことが多いと考えられます。

こういうときの喫煙は、単にニコチン依存症ということだけではなく、日常の行動に喫煙が関連づけられていると考えられます。

効果的な禁煙方法

●禁煙外来を利用する
「禁煙外来」とは、医師による禁煙指導を受けることです。一定の条件を満たせば健康保険が適用され、医療費の自己負担が軽くなります。

●喫煙と関連づけられている日常シーンを改める
先述のように特定の行動が喫煙に結び付いている場合、喫煙をできないように工夫してみましょう。たとえば食後の一服が癖になっているなら、食後はすぐに席を立つのが効果的です。

●喫煙しやすい環境を改める
禁煙しようと思っても、手の届く場所にたばこがあればつい吸ってしまいます。喫煙具を処分したり、たばこを売っている場所、吸える場所に近寄らないようにしてみましょう。たばこが存在しなければ、吸うこともできませんからね。

●たばこを代用品に替える
よくいわれる方法ですが、たばこを吸いたくなったらガムをかむ、またはあめをなめるという方法があります。

●タモリ式禁煙法
「お笑いビッグ3」の一人、タモリさんはかつて1日60本もたばこを吸うヘビースモーカーでしたが、スッパリと禁煙できたそうです。その方法は「たばこを吸いたいと思ったら15まで数える」という簡単なものです。

「たばこを吸いたい」という欲求は15秒続かない、つまり吸いたいという欲求が15秒たつと消えてなくなるというのです。自己暗示的な側面もあるかもしれませんが、タモリさんはこの方法で禁煙に成功したそうですから、効果はあるのでしょう。

たばこは有害だと頭では理解していても、吸い始めるとなかなかやめられないという人が多いようです。本気で禁煙したいと考えているのであれば、禁煙外来の受診がお勧めです。条件は少し厳しいですが、健康保険が適用されるケースがあるというのは魅力的でしょう。

(藤野晶@dcp)

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