「お伊勢参り」とは? 江戸時代に大流行。イヌもひとり(?)で旅しました

三重県伊勢市の伊勢神宮には、「お伊勢参り」に毎年約1,000万人が訪れるとのこと。江戸時代には「死ぬまでに一度は訪れたい」とまでいわれるほどの人気のスポットで、イヌが一匹(ひとり)でお伊勢参りをしたこともあります。今回は、そんなお伊勢参りについての面白い話をご紹介します。

江戸時代にお伊勢参りが大流行

東海道などの主要幹線道路が整備され、社会が平和で安定し、庶民が退屈してくると旅行ブームが起こりました。江戸時代の話です。中でもお伊勢参りは江戸時代の庶民の夢の旅行でした。

お伊勢さん(伊勢神宮)は20年に一度「遷宮」を行います。遷宮というのは社殿を造り替えて神座を移すことです。伊勢神宮では1300年にも渡ってこれを行っています。遷宮に合わせてお伊勢参りのブームが起こりました。1830年には、なんと500万人の人々が伊勢神宮へ旅をしたと言われています。ちなみに当時の日本の人口が約3,000万人と見積もられています。お伊勢参りがいかに流行ったかがわかるでしょう。

このブームには、伊勢神宮の御師と呼ばれる人々が関わっています。御師とは伊勢神宮が各地に派遣した、いわば一種の神主さんで、この人達が伊勢神宮のお札を配り、お伊勢参りへの勧誘を行いました。今で言うと旅行代理店のエージェントみたいな仕事です。彼らの巧みな誘致は大きな効果があったわけです。ちなみに明治時代初頭の調査によれば、900人の神職が伊勢神宮から全国へ派遣されていたそうです。

ワンコも行きました

イヌもひとり(?)でお伊勢参りに行きました。有名な話が残っています。阿波の庄屋さんの夢枕に飼い犬が立ち「お伊勢参りに行きたい」と訴えたのです。庄屋さんは、300文のお金を入れて首にかけ、旅支度をしてやりました。ワンコは道中お伊勢参りに向かう人達にかわいがられながら無事にお伊勢さんに着きました。あまりにその姿がいじらしいということで、道中、お金を出してやる人が後を絶たず、最後は3,000文以上にもなったそうです。さすがにこれでは重くて首にはかけられません。不用心だというので帰り道が同じ方向の参詣人が、庄屋さんの家まで送ってくれたといいます。こうしてワンコは無事にお伊勢参りを果たして家に帰って来たのです。

失踪してお伊勢参りに行く人もいました

「今日は会社に行きたくないなあ……旅に出ようかなあ」。そんな風に思ったことはありませんか。江戸時代、奉公人である日突然ふらっとお伊勢参りに出てしまうという人も多くあったそうです。そんな際には、お伊勢参りに行く人達が道中旅支度を整えてくれ、宿場宿場でアルバイトをしながら旅をしたそうです。ですから突然思い立って、無銭であってもなんとかなったんですね。また、お伊勢参りから帰ってくると、奉公していたお店では、「お伊勢参りだからしょうがないよ」と元通りその人を雇ってくれたそうです。非常に大らかな社会だったんですね。

伊勢の名物『赤福餅』

伊勢の名物と言えば『赤福餅』。関西の人なら「赤福餅はええじゃないか♪」というCMソングをよく知っているでしょう。赤福餅は餅の上に餡子(こし餡)を乗せた餅菓子で、1704年(宝永4年)から販売されています。全国の百貨店などでも購入できますが、やはりお伊勢参りに行った際に本店に寄って食べたいものです。伊勢神宮のお膝元にある本店ででき立ての赤福を食べると、びっくりするぐらい美味しいのですよ! ぜひ、お伊勢参りの際には赤福を食べてみてください。

(牧瀬ポンデリン@dcp)

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