よく眠れなかったり、寝付きが悪い人には「睡眠薬」が処方されることがありますね。こうした睡眠を促す薬には、「睡眠改善薬」と呼ばれるものもありますが、それぞれどう違うのでしょうか?
「睡眠薬」と「睡眠改善薬」はどう違う?
「睡眠作用のある薬」を総じて睡眠薬と呼ぶことがありますが、睡眠薬と睡眠改善薬は異なるものです。それぞれの違いについて『日本OTC医薬品協会』では、
・「睡眠改善薬」は、寝付きが悪い、眠りが浅いなどの「一時的な不眠」に対する薬
と分類しています。睡眠薬は処方薬、睡眠改善薬は市販薬と分けられていますが、含まれる成分や効果も異なります。
⇒引用元:『日本OTC医薬品協会』「おくすりの種類で選ぶ / 睡眠改善薬」
http://www.jsmi.jp/qa/sleep.html
睡眠薬と睡眠改善薬は成分が異なる
医師の処方箋が必要な睡眠薬は慢性的な不眠症状に対する薬であるため、強い効果があります。一方の睡眠改善薬は一時的な入眠改善を対象とするため、その効果は緩やか。含まれる成分が違うため、効果も異なるのです。
まず睡眠薬の場合は、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系という「脳の機能を低下させて眠らせる成分を含む睡眠薬」が主流です。
例えば「ハルシオン」や「デパス」はベンゾジアゼピン系、「マイスリー」は非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬。これらは睡眠作用が非常に強いのが特徴です。
また、睡眠薬には覚醒と睡眠を切り替える働きを持つ「メラトニン」というホルモンの分泌を促す成分を含む「メラトニン受容体作動薬」もあります。こちらはベンゾジアゼピン系と違い、効果が比較的緩やかです。ただし、人によっては効果が薄い場合もあります。
睡眠改善薬は睡眠薬と異なり「ジフェンヒドラミン塩酸塩」という成分が主に配合されているのが特徴。ジフェンヒドラミン塩酸塩は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの作用を抑える働きがあり、風邪薬やアレルギー鼻炎薬にも含まれていることがあります。
ヒスタミンには脳の覚醒を促す働きがあるため、ヒスタミンをブロックすることで脳の覚醒を抑え、眠気を誘発させるのです。
ジフェンヒドラミン塩酸塩配合の風邪薬や鼻炎薬のパッケージに、「眠くなることがあります」と注意書きがされているのはこのためです。
ただ、あくまでヒスタミンをブロックする成分なので、脳に直接作用するベンゾジアゼピン系の睡眠薬と違って効果が緩やか。自然な入眠が促せるとされます。
使用するときの注意は?
睡眠薬は効果が強いため医師の処方が必要です。その際、使用方法についても厳しく指導されます。
一方の睡眠改善薬は、使用方法の指導はあるものの、ドラッグストアで手軽に購入できるのが特徴。しかし、いずれの薬もやはり「適切に服用すること」が重要です。
睡眠薬の乱用は良くありません。また睡眠改善薬も「あくまで一時的な不眠に対するもの」ですから、長期間の服用は避けるべきです。もし万が一、睡眠改善薬を用いても改善されず、長期間不眠の症状が続く場合は専門医に診察してもらい、適切な処置を受けるようにしましょう。
ストレス社会とされる現代は睡眠に関する悩みを抱えている人が多いため、睡眠薬や睡眠改善薬に頼ろうとする人も多くいらっしゃいます。ですが、頼る前にどういった成分が含まれており、どんな効果があるのかといったことは理解しておきたいところです。
(松田ステンレス@dcp)
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