寝ているときに体を動かして姿勢を変えることを「寝返り」といいますね。では、なぜヒトは寝ている最中に寝返りを打つのでしょうか?
実は寝返りを打つことには、健康を保つための大きな意味があるのです。
寝返りを打つ理由とは?
私たちが寝返りを打つのは、
ためです。
横になると、体の接地面に体重が掛かり、その部分の組織や血管に圧力が掛かります。長時間そのままでいると血流が滞ってしまい、皮下組織に酸素が供給されなくなります。
そうすると痛みが生じたり、ひどい場合は組織が壊死して「床(とこ)ずれ」を起こします。
ですので、無意識に寝返りを打って一カ所に負荷が掛からないようにしているのです。
また、寝返りはレム睡眠とノンレム睡眠が切り替わるタイミングで行われることが多いとされています。そのため、睡眠状態を切り替えるスイッチとしての役割もあるのではという説もあります。
他にも、寝返りは日中の体のゆがみを整える、布団の中の空気を循環させる、といった役割があります。
空気を循環させることで温度や湿度を調節し、快適な睡眠を保つようにしている、というわけです。
一晩に何回寝返りを打っているのか
成人の場合は一晩に10~20回の寝返りを打つといわれています。
『東京湾岸リハビリテーション病院』に所属する医師らによる、「健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討」の研究(日本理学療法士協会主催の日本理学療法学術大会で発表)でも、1日の寝返り回数は「24±9.8」という結果になっているので、この説はおおむね正しいといえるでしょう。
寝返り回数の減少は危険?
同じく「健常者における睡眠中の寝返り回数と日間変動の検討」によると、睡眠中の寝返り回数の減少は「睡眠時無呼吸症候群」の発症リスクを高めるといいます。
寝返り回数が少ないと、背臥位(仰向け)になる時間が長くなります。
背臥位の体勢は咽頭(いんとう)部の筋肉が弛緩し、気道をふさぎやすくなってしまうため、その時間が長いと呼吸が止まりやすくなる、というのです。
睡眠時無呼吸症候群は脳卒中につながるものなので、体が大きく沈むような「寝返りしにくい軟らかな寝具」を避けるなど、寝返り回数が減らないように誘導することが重要とのことです。
このように、普段無意識で行っている寝返りは、実は非常に重要な行為なのです。
寝具の動きから寝返り回数をセンサーで感知する時計などもあるので、一度自分がどれだけ寝返りをしているか、調べてみるのも面白いかもしれませんよ。
⇒引用元:『J-STAGE』「理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2014/0/2014_1741/_article/-char/ja/
(中田ボンベ@dcp)
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